音楽教育に携わる御夫婦が、自宅の庭に計画された音楽教室であるが、少人数のアコースティックコンサートホールとしての、最高品質の豊かな音響を目指している。
二重のRC構造体の間からステージに自然光を取り込む断面と、四季折々の風景を楽しめる庭に対して扇形に開いた平面形を持つ。
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建築の断面を決定した。

客席後方にいくに従って空気断面の小さくなる勾配屋根は、音圧の低下を防ぐ効果もある。

付近の住宅も建て込んでおらず、夜は闇の中に浮かび上がる。


ホール前室部分はRC造で内部は黒く塗装している。前室丸窓からは庭の柿の木が見える。

奥は残響調整タペストリー。ピアノはKAWAIの3型グランドピアノ2台で、ステージ横に控室兼用のピアノ庫がある。
ステージに入る自然光は時刻とともに変化し、雲や木々の枝の動きも映し出す。
音は遮断しつつ、内外がつながっている神秘的な感覚となる。

側壁下部はパルプ繊維補強コンクリート板とロシア産白樺合板で、音の反射方向を調整している。
ステージの演者は庭の景色を眺められる。ガラスの音響的反射は、
微妙な角度とステージ側の反射壁角度でフラッターエコーなどの障害を克服。