大島記念音楽堂

音楽教育に携わる御夫婦が、自宅の庭に計画された音楽教室であるが、少人数のアコースティックコンサートホールとしての、最高品質の豊かな音響を目指している。
二重のRC構造体の間からステージに自然光を取り込む断面と、四季折々の風景を楽しめる庭に対して扇形に開いた平面形を持つ。

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初期のスケッチ。最も重要な一次反射音が、全ての客席に均等に散らばるように
建築の断面を決定した。
実施設計段階の音線図。内装としての反射板ではなく建築の形状そのものを音響的に決定。
客席後方にいくに従って空気断面の小さくなる勾配屋根は、音圧の低下を防ぐ効果もある。
道路からのアプローチの両側には、市の指定保存樹にもなっている巨樹が迎えている。
付近の住宅も建て込んでおらず、夜は闇の中に浮かび上がる。
庭から見た全景。写真左に在る母屋とは、ウッドデッキでつながる「離れ」のような配置としている。
扇形プランの小さなエントランスホール。入口部分は木造。
ホール前室部分はRC造で内部は黒く塗装している。前室丸窓からは庭の柿の木が見える。
ステージは両袖と上部からの自然光が溢れる。左の反射壁は面密度の高いロシア産白樺合板、
奥は残響調整タペストリー。ピアノはKAWAIの3型グランドピアノ2台で、ステージ横に控室兼用のピアノ庫がある。

ステージに入る自然光は時刻とともに変化し、雲や木々の枝の動きも映し出す。
音は遮断しつつ、内外がつながっている神秘的な感覚となる。

ステージから客席方向を見た昼景と夜景。昼間は外光で照明は不要。夜間の照明は全て間接照明。
側壁下部はパルプ繊維補強コンクリート板とロシア産白樺合板で、音の反射方向を調整している。

ステージの演者は庭の景色を眺められる。ガラスの音響的反射は、
微妙な角度とステージ側の反射壁角度でフラッターエコーなどの障害を克服。

写真:山田新治郎
当社業務設計・監理
設計協力山下博満
建築用途音楽ホール、音楽教室
工事種別新築
竣工年2014年
所在地神奈川県海老名市
延床面積93.90m2
構造、規模RC造、一部木造、地上1階
建築主個人
施工八光建設株式会社
構造設計三原良樹
設備設計大野恭成
当社担当者小川真樹、野口淳

主要設計事例一覧

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    2023
  • 宝珠院

    2019
  • 龍澤寺

    2017
  • 鎌倉の家

    2016
  • 大島記念音楽堂

    2014
  • 道往寺

    2013
  • 高輪の家

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  • スタイリオ池尻大橋

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    2009
  • プレミアイン白河

    2008
  • プレミアイン松山

    2007
  • Arte哲学堂

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  • 赤堤の家

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  • ヴィータ道玄坂

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  • デルタウエスト

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  • 根津の家

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  • 都屋ハウス

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  • 二番町三協ビル

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    1999
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    1989
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    2005
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    2005
  • 岩見沢駅舎デザインコンペ応募案

    2005
  • 瀬田プロジェクト 

    2004
  • H集合住宅

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  • 四軒長屋の計画

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    2000
  • 中野の家

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  • おばちゃんの家

    1999
  • 宮前平プロジェクト

    1998
  • 錦糸町プロジェクト 

    1998