宮崎市の市街地中心に設計した約200室の都市型ホテル。
古いシネコンの建物が残っており、大スパンで深い地下躯体外周部をそのまま活かす挑戦的な設計で、実施設計まで完了。建築確認がおりた直後に計画中止となった。

敷地の南半分は地下の映画館の躯体を残し、大通りに面した部分はドライエリアの庭園。
敷地中央部は階段状のサンクンガーデンとして、その二者を繋いで水の流れをつくり、新築建物はその中に浮いたように建っている。
地下の用途はレストランであるが、階高が大きいので壁面に映画を映写するなどして歴史を継承する空間とした。

大通り側のドライエリアから連続する階段状のサンクンガーデンと、
周囲のほとんどが吹き抜けていてブリッジを渡って入る1階ロビーフロントの関係を検討したもの。

1階の床は中央のフロントロビーのみで、そこに向かってブリッジで入る構成。
大通り側の吹き抜けでは壁面に昔の映画が映写される。

岩綿吸音版を宮崎市街地の地図のパターンで切り抜き、駅からホテルまでを転写する天井とした。
方位も概ね正しくて、ホテルの位置がフロントカウンターの真上。
宮崎駅が入口風除室になるように設計。天井を見ながら市街地の案内ができる。

比較的大型のツインorダブルが主体で、ほとんどの客室に窓のある浴室がある。
浴槽はプレミアイン白河で設計開発した特注ユニットバスのストレッチタイプで、長軸1200mmの座浴付浴槽。
建物外壁は構面から2メートル跳ね出していて、梁の無い天井までの窓となっている。

外壁はせっ器質タイル打ち込みPC板をイメージしていたが、VEで現場打ちに変更されていた。
着工直前の計画中止は、出資予定だった欧州の銀行が撤退したためと聞いたが、とても残念なことだった。