宝珠院

東京、芝公園内に建つ増上寺の塔頭寺院。本堂、弁天堂、閻魔堂の3つの御堂に庫裏を併せた複合建築で、大衆に開いていた江戸期の姿を復活させ、この地に在った茶店のごとく、親しみの持てる姿で公園に開く計画としている。

扉写真は竣工直後の元旦のにぎわい。港七福神の一つでもあり、御朱印を求める参拝者が絶えない。周囲は都立の芝公園で、左背景に増上寺本堂屋根がわずかに見える。

公園側からの全景。建物の正面には弁天池(旧称、蓮池)がある。公園全体が境内のようであり、同時にお寺が池のほとりの茶店のようでもある。
本堂から、右奥の寺務所受付(御朱印受所)を望む。各御堂の外陣は横に連続しているが、可動間仕切で独立した御堂にもなる。
左上のガラススクリーンの奥は庫裡のリビングルーム。
ハイサイド窓からの外光が落ちる本堂内部。正面は散華型に切り抜いた白樺のパネルとリブで構成され、壁天井は全て漆喰仕上。
床のモザイクタイルは、外陣の黒の世界から内陣の白の世界に向けて段階的に変化させ、仏具も導師椅子以外は全てオリジナルデザイン。
各御堂の外陣は連続しており、屋内参道的な性格も持つ。夜間は公園から諸仏が拝める。
尚、撮影後にウッドバーチカルブラインドを設置し、開放性を調整できるようになっている。
弁天堂は、縁日などには建具を全開して軒下空間と一体に使えるようになっている。 左奥に見えるのは東京タワー。
前面道路からの夕景。参道は実は公園である。閻魔堂のみが参道方向に向いていて、睨みを効かせる閻魔様が見える。
石灯籠も弊所でデザインして中国で製作した。(石灯籠製作:小林石材工業)
2階は庫裡。リビングダイニングからは本堂の上部が見え、参拝者からは見えない角度で宗住一体の空間構成となっている。
家族経営の寺院の一つのありかたであると考える。
様々な仕掛けのある寺院でもある。(左上)宗紋寺紋を象った排気カバーと、棟梁がないために垂木を剛接合する懸魚パネル。噴水のような模様は旧本堂のリメイク。(左下)3堂を貫通するキャットウォークは演出にも使える。(右上)漆喰鏝絵の閻魔耳。(右下)音が楽しい投入賽銭箱。など
写真:山田新治郎
当社業務設計・監理
建築用途寺院、庫裡
工事種別新築
竣工年2019年
所在地東京都港区芝公園
延床面積278.25m2
構造、規模木造、地上2階
建築主宗教法人 宝珠院
施工株式会社 佐藤秀
構造設計・監理福山弘構造デザイン
設備設計葉月設計事務所
電気設計田中電気設計事務所
仏像新造・修復長南文化財修復室
仏具家具製作木工房きりんじ
住宅家具製作木工ふくなり
当社担当者小川真樹、村口勇太、野口淳
掲載メディア『季刊・ディテール』229号

主要設計事例一覧

  • 宝珠院

    2019
  • 龍澤寺

    2017
  • 鎌倉の家

    2016
  • 大島記念音楽堂

    2014
  • 道往寺

    2013
  • 高輪の家

    2013
  • スタイリオ池尻大橋

    2009
  • プレミアイン仙台多賀城

    2009
  • プレミアイン白河

    2008
  • プレミアイン松山

    2007
  • Arte哲学堂

    2007
  • CHISUN HOTEL

    2005
  • PLEASURE EAST & WEST

    2004
  • 田浦の家

    2004
  • 赤堤の家

    2003
  • ヴィータ道玄坂

    2003
  • デルタウエスト

    2003
  • 根津の家

    2002
  • 都屋ハウス

    2001
  • 岡村ビル

    1999
  • 二番町三協ビル

    2001
  • ガーデンプラザ新検見川(独立前に担当)

    2003
  • 東京イースト21(独立前に担当)

    1999
  • オーチャードホール(独立前に担当)

    1989
  • K-project

    2006
  • 城下町ホールコンペ応募案

    2005
  • T ホテル

    2005
  • 岩見沢駅舎デザインコンペ応募案

    2005
  • 瀬田プロジェクト 

    2004
  • H集合住宅

    2001
  • 四軒長屋の計画

    2001
  • M美術館

    2000
  • 中野の家

    2000
  • おばちゃんの家

    1999
  • 宮前平プロジェクト

    1998
  • 錦糸町プロジェクト 

    1998