鎌倉の家

築90年以上の歴史的建造物、旧安保小児科医院の住宅へのリノベーション。御成通り半ばに建ち、鎌倉市民に親しまれてきた医院建築は、一時期鎌倉市に管理委託され公開されていたが、老朽化が進み、これを住宅として生かしながら再生する試みがなされた。

医院当時と同じ大きな玄関ホールから居間、食堂ごしに庭が見える。内外の建具のほとんどは保存、又は移動再利用。天井高は3.1mある。
居間と食堂の間は、耐力上許される範囲で開口し、連続感を出す。外壁のほとんどが開口部という当初の設計は、耐震補強的には難しい面があったが、耐力を内部壁で確保することで、オリジナルの明るい空間を維持することができた。
左が食堂、右奥がキッチン。食堂は元は診察室で、子供を楽しませる為に作られたという天井の鶴の飾りは漆喰製の工芸品。これはこの位置から動かさずに工事が行われた。
食堂からキッチンを見る。手前の、ウッドデッキに出る掃出し窓は、元は腰窓であったが、オリジナルのデザインにあわせて新規に作成した。構造上残すことにした柱は、モザイクタイルを貼ってキッチンカウンター中央の照明用の柱となった。
2階は、当時の設計意図を尊重し、主要部分は修復のみである。ここも外壁の多くが開口となっている。
2階の座敷も修復のみであるが、照明器具は最新のもの(オイヴィンスロット氏デザインのパテラ)を置いてみた。繊細な格子の陰影が洋の東西、時代の新旧を越えて調和する。
竣工時の外観。着工前とほとんど見分けがつかないが、景観保存建築物として、外観を変更せずに医院が住宅として生まれかわっている。
写真:渋谷和江
当社業務設計監修
監修協力山下博満
設計担当相澤美奈子(三井不動産リフォーム)
建築用途医院から個人住宅へ
工事種別改築
竣工年2016年
所在地神奈川県鎌倉市
延床面積121.2m2
構造、規模木造2階
施主、事業主個人
設計・施工三井不動産リフォーム株式会社
当社担当者小川真樹、野口淳、村口勇太

主要設計事例一覧

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