建築雑感

2005年8月18日

イタリア-2:RCトラスの橋

RCトラス橋ミラノ Naviglio地区の運河沿いを散歩していて見つけた鉄筋コンクリート造のトラス橋。無骨なプロポーションでありながら斜材の角度と太さを連続的に変化させているあたりがニクい。この時は運河の工事の為か水がありませんでしたが、太鼓橋になっているのは船舶の航行のためでしょう。

RCトラスの橋と言うとパリ東駅の跨線橋(1927)が有名なようですが、細骨材の風化の具合から言ってそれよりも古いかと思われます。しかし形状から言って力学的にはトラス橋というよりはアーチ橋でしょうか。その苔むしたテクスチュアに、もはやトラスの軽快さからはほど遠い重量感を見せている姿は、もしかするとデザイナーの意図したものかもしれません。こういうものを見ると、遥か昔にこれを造った人たちの顔が見たくなります。

2005年8月18日

イタリア-1:敷石の下には

広場の電源そんなことをやっているから給料が低いのだとボヤかれそうですが、今春に事務所でイタリア中北部を旅行しました。”旅行者”としての「建築雑感」を数回にわけて書いてみます。

手始めは軽く設備のお話。露店で賑わうフィレンツェの広場で足元にこんなものを見つけました。露店に電気を供給しているボックスです。一見すると百年以上も前に敷き詰められたかに思える敷石の下に、イベント用のインフラをしっかり仕込んであちこちから取り出せるようにしてあるとは、さすがイタリアと言うべきか。これのおかげで気分よく酔っぱらっても地面をのたうつケーブルで足をとられることはありません。だいじなことです。下の方がどうなっているかは不明ですが表情もなかなかよいですね。街を歩いているとこの手のものによく出会います。

2005年8月9日

街の成熟

西の道 中央広場

独立前のMIDI綜合設計研究所在籍時に設計を担当した「ガーデンプラザ新検見川」を訪れる機会がありました。第一期工事が竣工してからですと10年近くが経過しています。高木のボリューム感は竣工時の2倍以上、夏の日差しの中で生い茂った緑はとても美しいものでした。そして、そこかしこに感じられる暮らす方々の活動の証しや、アウトドアで楽しむ家族連れの姿に、おだやかに成熟した街の姿を見ることができました。あと10年もたてばさらに広がった木々の枝によって建築はその姿をすっかり隠してしまうことでしょう。