建築雑感

2006年3月14日

『室内』

月刊誌『室内』の休刊が発表されてひと月以上になるでしょうか。この間、多くの場所に惜しむコメントが見られるようになりました。やはり休刊は残念なことです。前編集長の山本夏彦氏の色が濃かっただけに、3年前に亡くなられた折にはもはや本の使命も終わったかのような見方もありましたが、私にはそうは思えませんでした。ここの編集部の方々は独特の雰囲気があって、なんというか『生活者』であり『対象を楽しむ人』であり、そしてその二つが一緒になって出てくるので書く文章も独特に面白い。たまたま同氏が亡くなられる前後にふたつの住宅で取材を受けましたが、そういうことは何ら変わりませんでした。編集長が変わって表面の色は少し変わっても根底に流れるものは変わっていないと感じたものです。
今の時代だからこそ貴重な ”読ませる建築雑誌” 、『ひとまず休刊・・・』と発表されたこの雑誌の新たな復活に期待したいと思います。

2006年3月9日

ロゴデザイン

週末に事務所の玄関前で呼び止められました。振り返ると、ときどき行くお店で働くガーナ生まれのDさんの人なつっこい顔。この近くで自分の店を出すことになったという話を聞くうちに、彼は店のロゴを考えてほしいと言いだしました。お店のインテリアデザインならいいけどロゴデザインはプロじゃないからと言ってもなかなか聞きいれてくれません。どうやらお店の方はほとんど出来上がっている模様です。真面目で熱心な彼の話を聞いているうちになんだかやってみたくなってしまいました。店のイメージを聞き出して週末の夜に考え月曜日に電話して渡しましたが、さてどうなることでしょう? よいお店になればよいのですが。
FREEZEロゴ

2006年1月7日

設計競技雑感

昨年末に行われた小田原市の音楽ホール公開設計競技に応募しました。結果は落選ですので残念な結果でしたが、新しいものの見方や発想力を持ち続けるためには、たとえ事務所経営を圧迫してでもコンペに参加することには意味があると感じた次第です。今回は機能が『音楽ホール』であったため、音楽ホールを得意とし、私も過去に所属していたMIDI設計出身者が主宰する二つの事務所に声をかけ『三者共同』で応募したのですが、こうした共同作業も初めてでしたので新鮮でした。落選案を公開するのは躊躇われる面もありますが多くの案を見、自らの提案も公開する事は思考の巾を広げることにもなる。という思いで当サイトにも一部を公開しています。同様の趣旨で言いますと、昨年年初に私も応募した岩見沢駅舎のコンペではJR北海道の御尽力により応募作品集が編纂されると聞いており、こうしたことは実にすばらしいことだと思います。

ところで、最近、設計競技によって設計委託をされながら、理不尽な事由によって実施に至らなくなったり、竣工後に問題を起こしたりする例が見受けられます。先の小田原の競技で当選となった山本さんの作品は(次点の小泉さんもですが)非常に優れた提案であって私も竣工が楽しみであると同時に、建て主側の関係各所にはこうした不幸なことにならないように御願いしたいものだと感じずにはいられません。