建築雑感

2011年12月9日

舞台床に刻まれた歴史

オーチャード舞台床渋谷のBunkamuraオーチャードホールの改修のお話は少し前に書きましたが、写真は竣工以来使われてきたステージの前縁の部分をカットしたものです。舞台鼻先中央にあるプロンプターボックスに近い上手側の部分、約400×300。

今回の改修でステージ床は全て新しくなりましたが、今までの床の一部を記念にいただいたのです。材料は全て檜。竣工時は淡い黄白色だったものが22年間でこのように「美しく」なるのですね。大道具の固定された釘のあとや、舞台鼻先で行われたであろう様々なパフォーマンス、その歓びと苦難の痕跡が刻まれている。。。大学出たてのころ必死で担当していた建築の歴史を、これからの私の宝物にします。

あのころから、私もこれほどの歴史を積み重ねられているのであろうか。。。と、自問しているところで、所員に『これ、どこに置くんですか?』と聞かれ、狭い事務所の中で答えに窮していたのでした。