昨日、日が暮れるとどうしても気になって、事務所からバスで30分ほどにある解体現場にでかけた。ビルに囲まれた暗闇の中で解体用の養生シートに包まれ、ひっそりと横たわるお寺の本堂と庫裏・・・。まわりには墓石と猫二匹、人は誰も居ない。
そのお寺の建て替えの設計を始めたのは3年近くも前、戦渦に耐え、引き家され、たび重なる補強工事で、もともとは庫裏の一部であったというその本堂は満身創痍だった。何か使えるものがないか考え、屋根瓦を新しい寺院の外構ペーヴとして使うことにした。目の前の本堂の瓦はすでに全て撤去されている。長い間ごくろうさまでした。と声をかけたくなった。
参道をあとにしながら振り返ると、濃灰色のシートに覆われた本堂は夜の空を背景にしてほとんど見ることが出来なかった。