建築雑感

2011年12月5日

仏式起工式

好天に恵まれた今日、設計監理を行っている浄土宗の寺院の起工式がありました。仏式の起工式は私は初めてで、とても良い経験でした。神道の地鎮祭が神様の怒りを鎮めるためのものであるのに対して、仏式では建物が建てられるに至った関係する皆様の「御縁」に感謝するというのが趣旨のようです。笙の演奏で始まり、読経は宗門関係者や御檀家の方々は全員で読まれていました(私は出来ませんが)。玉串ではなく御焼香です。最後は地中に供物を納めて全員で砂をかけて埋めます。そして、これらを取り仕切るのは御施主さんである御住職ご自身であるというのも新鮮でした。工期は約10か月、今日の天気のように穏やかで無事な工事を願っての、気持ちのあたたまる式でした。

2011年11月29日

オーチャードホールへ

オーチャード改修大学を出て入った事務所で最初に担当させていただいた Bunkamura のオーチャードホールが改修工事をしていますが、今日は当時の私のボスの三上祐三氏とその仕上がりを見に行きました。竣工後22年を経て内部の塗装も竣工時のようによみがえり、ステージ床なども更新、本当にきれいになりました。

いつまでも使われ続け、設備類は一新しつつも内部空間は竣工時の様子がベストと考えていただけていることは、ほんとうにありがたいことだと感じます。改修後初演は大晦日の東急ジルベスターコンサートの予定とのことです。行きたい。。。

2011年11月25日

解体前夜

昨日、日が暮れるとどうしても気になって、事務所からバスで30分ほどにある解体現場にでかけた。ビルに囲まれた暗闇の中で解体用の養生シートに包まれ、ひっそりと横たわるお寺の本堂と庫裏・・・。まわりには墓石と猫二匹、人は誰も居ない。

そのお寺の建て替えの設計を始めたのは3年近くも前、戦渦に耐え、引き家され、たび重なる補強工事で、もともとは庫裏の一部であったというその本堂は満身創痍だった。何か使えるものがないか考え、屋根瓦を新しい寺院の外構ペーヴとして使うことにした。目の前の本堂の瓦はすでに全て撤去されている。長い間ごくろうさまでした。と声をかけたくなった。

参道をあとにしながら振り返ると、濃灰色のシートに覆われた本堂は夜の空を背景にしてほとんど見ることが出来なかった。