設計・監理を行っている、もうすぐ着工のホテルがあります。これはいわゆる『ビジネスホテル』なのですが、宿泊特化型と言って宴会場機能などを排除して泊まることに機能を限定したタイプです。こうしたホテルの大きな目標の一つは低料金化にありますから、必然的に部屋のサイズは小さくなります。それと同じようなものに航空機のシート設計があります。旅客機の設計ではシート寸法と座席数からくる機体の巾が最初に決められるそうですが、建築では意外とその他の理由で部屋の巾が決まる場合が多い。しかし今回は旅客機のように純粋に部屋の間口寸法を決めることから始めました。そして『お決まり』のスタイルをいったん全部忘れてから考え始めたのです。面白かったのは、そのようなプロセスで進めるとかえって空間が豊かになるということです。無駄な部分が無くなった分、スペースが有効に使える。あたりまえのことなのですがこれが新しい発想も生みます。例えばデスクと窓の関係。デスクは隣室間の壁に沿って配される場合が多いのですが、実はこれがあまり合理的ではないし気分も良くない。デスクは窓側にあっても良い。そうなると窓の形態はどういうものが良いのか。。。という流れです。この続きはまた書くことにしましょう。敷地は四国の松山。竣工は来年の秋です。
2006年10月20日