MAT:小川真樹建築綜合計画 ニュース
 
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左の写真は、上がBUNKAMURA オーチャードホール
下が、東京イースト21
ここでは私が独立までの14年間お世話になった、MIDI綜合設計研究所所長の三上祐三さんの話を少しいたします。今でも私の頭の中では所長ですので以下そのように書かせていただきます

日本における三上所長は、私もペイペイの新入所員として担当させてもらったBUNKAMURAオーチャードホール等の設計者として知られていますが、ヨーン・ウッソン氏の設計したシドニーオペラハウスの設計に初期の段階から参加し、ウッソン氏が手を引いた後も構造設計を行ったアロップ社のメンバーとして最後までその建築の完成にかかわった人です。その完成までの長くて教訓に満ちたお話は、彼の著作である『シドニーオペラハウスの光と影/彰国社』に任せるとして、ここでは私の所員時代に印象深かったことなどを三上所長の言葉を借りて4つ書くことにしましょう。

使う人を考えろ
これは毎日のように言われた言葉でした。この言葉のポイントは、使う人イコール金を出す人。ではないことです。建築家の依頼主は『金を出す人』なわけですが、そうではなく建築を使う人に目を向けろということであり、それがとりもなおさず最終的には金を出す人の利益にもなる。それが判断できるのが建築家の職能のひとつなのだと、そのように私は感じています。これはとても基本的なことなのですが、今も私のモットーのようになっている言葉です。

目ではなく耳で設計せよ
これは直接には彼の得意とした音楽ホールの設計にしか当てはまりませんが、その建築の機能として最も重要なことを認識すべし。という意味で普遍的だと感じています。
全体の一部である
私が担当した照明器具のデザインにのめり込んだときに、普段はスタッフ室で怒鳴られているにもかかわらず、所長室に呼ばれて静かに言われました。『このデザインは単独では良く出来ているかもしれないが建築全体のバランスを崩すことになる。だから俺がやりなおすからそれを理解しろ。』
所長のスケッチを元に完成した照明器具は建物を引き立てるもので、そのときの諭し方に強いものを感じました。ディテールは全体の為にこそ在り、引いて俯瞰できることが大切だということと思います。

君たちが労働組合を作れば俺もメンバーになる
そんなことできませんね。いきなり妙な言葉ですが、単に給与や労働時間のことにとどまらず、毎年全額会社持ちの所員旅行をしたり、忙しくてもお茶の時間には全員あつまるように勧めるなど、三上所長は設計事務所の労働環境を大切に考える人だったのだと感じます。こういうことはなかなか公にはなりませんが、実は健康的な発想を成すためにも事務所経営者にとって大切なことなのです。
若者にとってはハングリーであることは大切ですが、同時にどこかで『所長が所員になりたい』と思うくらいの環境を用意できていることも忘れてはならないのでしょう。

御活躍中の三上所長について書きすぎたようです。このぶんでは所員時代のように怒られそうですね。