MAT:小川真樹建築綜合計画 ニュース
 
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ここでは、私が東京芸術大学大学院在籍中に研究室担当教授であった奥村昭雄先生と始めた研究の話をいたします。奥村先生は現芸大名誉教授で、OMソーラーの開発者でもあります。

大学に通う道である上野公園の木々を眺めているうちに、様々な木の形は実は共通のルールによって形作られているのではないか?というような話になり、ちょうどそのころ研究室に導入された16ビットパソコンを使って、最初は遊びのように始めた研究です。パソコンは建築の本業であるパッシブソーラーの熱環境シミュレーションの傍らで、遠慮がちに、時には傍若無人にこの研究にも使われることになったのでした。

観察と試行錯誤の結果、それらのルールは分枝の角度などの11のファクターに整理されました。このプログラムは代謝系をシミュレートできるところがポイントで、数千という全ての枝先で受光量を計算し、周辺の環境までをとりこんだ自己代謝の中で植物が生育していきます。具体的には受光量の低い枝はやがて枯死して消えていき、受光量の多い外縁付近では徐々に枝先密度が増して『樹冠』が形成されるのです。こうしたコンピユーターの中で育つ様々な木々の姿はたいへん感動的です。

というわけで、20年前の16ビットパソコンで書いたプログラムに対して、未だに類似のものが現れないため、最近でも思いついたように復活しては奥村先生とともに研究を継続しています。
画像は檜に似たパラメータを持つ木の成樹の姿で、三次元の平行法の立体画像になっています。御覧になってみて下さい。このプログラムは未だに未発表ですが、もう少し完成度をあげてから発表したいものだと考えています。しかしながらN88-BASICという『古語』で書かれた長大なプログラムを『現代語』に翻訳するだけでひと苦労で、現状は奥村先生の手によって『20年前』から『10数年前』の言語レベルに引き寄せたにとどまっています。あとは私が『現代語』にしなければならない番なのですが。。。

ところで、環境との呼応によってひとつの代謝系がその姿を変容してゆく姿を理解することは、実は建築と無関係のお話ではありません。一つの建築の一生も、群れとしての建築の一生も、いくつかのファクターによって生み出され環境との呼応関係の中で変容します。又、長い歴史の中での建築の変化にも同様のことが言えるでしょう。

私にとって建築の最初の師であった奥村先生からは、毎日毎日繰り返された議論と、信じがたいほどに面白いコンピューターの中で育つ木々の姿を通して、そうしたダイナミックな物の見方を教えられたように思います。
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 平行視の立体画像です。